私に恋してくれますか?
私は下を向いたままフラフラと、トオルくんの横を通る。

「親父さんに会ったのか?」と聞かれ、肩を抱き寄せられた。

ポタポタ涙が落ちる。

うまく自分の気持ちがお父さんに伝わらなかった…
トオルくんが悪者になってしまった。
足立先生の花婿候補になるっていう宣言も、きちんと断る事ができなかった。

…なんで涙が出るんだろう

「…ごめん、トオルくん。」とつぶやくと、

「そばにいるよ。」とトオルくんがそっと抱きしめ、頭を撫でてくれた。

大きな掌。
暖かい腕の中。

とても安心する。

ずっと分かっていた。
偶然、
お見合いの前の日に出会った時から…

私を家から連れ出すために、伸ばされた手。
ニカッと笑う笑顔。

私はトオルくんが好き。


…でも…どうしたらいいのかわからない…
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