私に恋してくれますか?
みんなが帰って行き、
私はトオルくんを起こす事にした。
3月に入っていくら暖かくなったとはいえ、
朝までソファーで寝ていたら、
風邪をひいてしまいそうだ。

何度か声をかけ、肩を揺らすと、
眠そうな、酔った声を出して、
ゆっくり目を開けた。

乱れた髪と寝ぼけた顔が、あいかわらず、子どもみたいだ、

「もう、みんな帰っちゃいましたよ。」と笑いかけると、

「そっか、寝ちゃったな。」と頭を掻いて、
ふと、私の顔を覗き、

「誕生日おめでとう。昔は庭で『花かんむり』つくってたのに、すっかりオトナになったな」

とくすんと笑うので

「トオルくんのイジワルは、あんまり変わってなさそうですけど…」と私も笑うと、

「俺は、ピーコの笑った顔が好きだよ」と私を引き寄せ、自分の体の上に倒れ込ませて抱きしめる。

トオルくんの顔がすぐ目の前にある。



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