私に恋してくれますか?
真っ直ぐ見つめられて
動けなくなった私を
トオルくんはしっかり抱きしめ、
唇を指先でそっとなぞる。

瞬きしてから、トオルくんを見つめると、
真剣な瞳で見つめた返して
ゆっくり唇を重ねてきた。

私は目を閉じる。

初めはそっと、触れるだけのキスだったけど、
少しずつ、深くかさね。
私の唇を割って、トオルくんの柔らかい舌が
入りこんでくる。
大胆に口の中を探り、音をたてて、舌を絡ませてくる。
私はこんなに深く、身体の奥まで刺激されるようなくちづけは知らなくて、
怖くなって、
おもわず、トオルくんの胸を押して、
唇を引き離した。

トオルくんは
「俺がイヤ?」と少し悲しそうな瞳をする。
私は何度も、首を横に振って、
「…イヤじゃありません。」となんとか声を出し、
「おっ、男のヒトとこういうキスするの、初めてなので…」と言うと、

トオルくんは少し驚いた顔をしてから、
「なるほどー」と笑って
「俺が初めての恋人ってわけだ。」と楽しそうに言う。

「このまま押し倒すつもりだったけど、やめておこうかな。
でもさあ、これってどうしてくれるの?」と私のおなかに固くなった下半身を押し付ける。

こ、これって?えっと?
ぼんやり想像がついた私は
トオルくんの上からガバリと起き上がって、真っ赤になると、

「ピーコその反応はひでーな。」とゲラゲラ笑って、

「まあ、しょうがない。
徐々に慣れてください。
きっと、どの男もそう変わらないって思うから」とトオルくんはよいしょと立ち上がって、

「ピーコ、俺がシャワー浴びてる間に部屋に戻って鍵をかけておきな。
今のキスで俺はピーコの気持ちが確認できたから、本気で行くぞ。
足立センセーに横からさらわれるわけにはいかねーし、
ちょっとは待ってやるけど、覚悟しとけよ。」

ともう一度ぐいっと私を抱きしめ、短いキスをしてから、
バスルームに歩いて行った。

か、覚悟って?!
どうやって覚悟したらいいの?







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