私に恋してくれますか?
その夜私はトオルくんに
「この家を出て1人暮らしをしたい。」と思い切って言った。

「いつかそう言うと思ってたけど…
引き止めちゃダメ?
俺はピーコと暮らしたい。
お互い好きなんだし、同棲って形にしてもいいんじゃない?」と私の瞳を覗き込む。

「ひとりで何にも出来ない自分から、卒業したい。
私が頼りないから、周りが心配する。
自分で仕事をして、生活をする。
父が決めたマンションなら、
1人暮らしをしてもいいって言われていたの。
きっと、上手くできない事もあるだろうけど、
そのマンションにしばらく住んで、父に一人前だって認めてもらえたら…
自分で、交際相手も、結婚相手も決めていいと言われると思うの」と私が言うと、

「ピーコは偉いな。
親父さんと向き合おうと頑張ってる。
…俺は
家族から逃げたんだ。
分かり合えないって…。」とトオルくんは静かに言った。

「トオルくんも、きっと向き合えるよ。」と私がトオルくんを見上げると、少し笑って


「そんな事より、いつ、どこに引っ越すんだよ。
引っ越す前に…
ちゃんと俺のモノになっておいてね。
ヤブ医者は部屋に入れるなよ。」と言われて、抱きしめられ、くちづけされる。

ヤブ医者って訳ではちっともないけど…

えーと、
引っ越す前に一緒に部屋を見に行っちゃったけど…。
と思いながら、トオルくんの熱いくちづけを受けた。
< 85 / 191 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop