ともこ
放課後、智子達はミヅキがいるF組へ行くことになった。
「あの~、綾子さん。」
智子は綾の後ろから、抑えた声で言った。
「なに?」
「一応、男目当て入部であることは内緒で…。」
「分かってるわよ、そんな人紹介したら私の印象も悪くなるしね。」
(そういえばそうか。)
智子は少し安心した。
F組は3階の端にあり、2階のB組からは階段を上がって少し歩く。
綾子と智子は教室の窓から中を少し覗いた。
教室の中には、まだ数人の男女がおしゃべりしたりして残っていた。
「ミヅキ」
「綾、早かったね。」
ミヅキと呼ばれた子は、小柄でショートカット、美人ってわけじゃないけど愛嬌の
あるかわいらしい子だった。
「この子が、地球環境クラブに入りたいって子。」
綾がさっそく智子をミヅキに紹介した。
「ああ、メールで言ってた人。智子さんだよね?」
ミヅキは笑顔で智子の方を見て言った。
「うん、北瀬智子って言うの、よろしく。トモでいいよ。」
智子も彼女の笑顔につられて笑顔で自己紹介した。
「こちらこそ、私は橋本水樹。あたしもミヅキでいいから。」
どうやら、ミヅキはいい人そうだ。智子は少し安心した。
「トモは環境問題とかってけっこう興味あるの?」
当然の質問がやってくる。
「うん、でも最近になってニュースとかで温暖化とかやってるの見て
興味が沸いてきて、だから、そんなに知識はないんだけど…。」
智子は、昨日考えてきた理由を自分なりにそれっぽく述べた。
「全然いいよ、別に環境問題に詳しい人ってそんなにいるわけじゃないし、
ウチのクラブって結構人数少ないから入ってくれるだけで大歓迎!!」
ミヅキは本当にクラブに入ってくれることを純粋に歓迎してくれているようだ。
とりあえず男目当てであることは、勘ぐられずにすみそうで、
智子はあらためて安心した。
< 7 / 19 >

この作品をシェア

pagetop