もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
公園を出て、住宅街を二人並んで歩く。見慣れた景色も、好きな人と歩けば、どんな絶景よりも綺麗で美しい。
「夏帆、ちゃんと夏休みの課題はした?」
隣を歩くお兄さんのこの一言に、私はとても重要なことを思い出した。
「あ!してない!」
「はは、やっぱり」
夏休み中にするようにと与えられた数々の課題。私は、その課題の中のたったのひとつにだって手をつけていなかった。
「あ、でも、明日学校で友達に見せてもらうことにするから大丈夫!」
まぁ、これは、毎年の事。今年こそは夏休み始まってすぐに終わらせるんだ、とか、今年は計画的に進めるぞと計画を立てたりするけれど、毎年うまくいかず、学校で慌てて友達の課題を移す。これがいつもお決まりだった。
「あ、夏帆はズルするんだ」
「えへへ」
「笑って誤魔化さない」
「ごめんなさーい」
手を繋いだまま、お兄さんと笑いあう。お兄さんが幸せそうに笑ってくれている事が、私には幸せだった。
「あ、そうだ」
「どうしたの? お兄さん」
「また今度、ミケタロウによろしく言っといて」
「あ、うん!ちゃんと言っとく」
「あと、ごろごろ寝転がってばっかいないでちゃんと動けよーって言っといて」
「うん、分かった」