もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
走って、走って、走って、走って、走って。
涙なんて気にならないくらい。後ろなんか振り向けないくらい、未来が怖いなんて思っている暇もないくらい、私は無我夢中で走った。
コンクリートの上を、ローファーの底で蹴るようにして走り続ける。とっ、とっ、とっ、とローファーの底がコンクリートと音を奏でるのを聞きながら、私は気付けば学校の校門までやって来ていた。
「はあっ」
走っている間は、全く気にもならなかったけれど、止まってみると突然息が上がってきた。
息が苦しくて、立っていられなくなりそうだった。
私は、両膝に手を置き、しばらく呼吸を整えた。そして、玄関で上履きに履き替えると、自分の教室へと入った。
「夏帆、おはよう」
「あ、成美ちゃんおはよう」
教室へ入ると、席についている成美ちゃんが私に手を振った。私も右手を上げて、成美ちゃんの前の席でにある自分の席についた。
「課題、ちゃんとやって来た?」
「それが、やってないの!成美ちゃんの見せて欲しくて……あ、ちょっと待って、私、カバンにある課題ノート……」
カバンの中をがさがさと探る。探っている間、私はなんだか嫌な予感がした。嫌な予感がしたけれど、それが現実に起こって欲しくなくて、私は現実逃避でもするかのようにカバンの中を必死に探り続けた。