もう二度と昇らない太陽を探す向日葵

 正直、昨日はまともに寝ていない。眠れなかった。強いて言えば、二時間ほど記憶の無い時間があった。きっと、それが私の今日の睡眠時間だ。

「ちょっと、寝かせて」

 どうしたことか、去年までは始業式の日は午前中で終わっていたはずなのに、今年からは、始業式初日から授業が始まるという事になったらしい。午前中は始業式。お弁当を食べて、午後から授業。

 ああ、学校は私たち学生を夏休みの余韻に浸らせてくれもしないのか。

 そんな事を不満に思いながら、私の瞼はうとうととしていた。そして、だんだん意識は遠くなっていく────。


 ────ガタン

「こらぁ!宮崎!」

 地震が起きたのか、なんて思い椅子から飛び上がった私。現状を理解しようと辺りを見てみるけれど、地震が起きているようには到底見えなかった。

 どうやら私は、担任である田口先生に机を揺らされて起きただけのようだった。

 影では我が校一のイケメン先生と囁かれている、担任且つ体育担当教師の田口先生。この学校では若い方である27歳という年齢と明るく気さくな性格から、彼は男女問わず人気の教師である。

「何寝てんねん、どあほ」

 このザ・本場の関西弁も、恐らく人気のひとつだ。この関西弁を聞くと、田口先生のファンである女の子たちは、いつもきゃあきゃあと騒ぎ始めるのだ。

「はい。ごめんなさい。あの、先生の関西弁怖いですやめてください」

 私には、田口先生の関西弁はとても威圧的に聞こえる。嫌いではないけれど、そんなに良いものなのだろうか、といつも不思議に思っている。

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