もう二度と昇らない太陽を探す向日葵

「何を言うとんねん。宮崎。お前、ちゃんと周りを見てみろ」

「え? え、あれ」

 田口先生に言われた通り、私は周りを見渡した。私の座る席の周りは、すべて人が座っていない机と椅子ばかり。私と先生以外、この教室には誰一人いなかった。

「みんな体育館で始業式や。寝過ごして始業式不参加なんはお前だけ」

 オンリーワンやな、と言って田口先生が笑う。その笑みにも威圧感を感じ取った私は、肩を小さく丸めた。

「……す、すみません」

 ああ、やってしまった。まさかこんな事になるとは。

 私は、慌てて椅子から飛び上がった。そして「始業式急いで行ってきます」と先生に告げると走り出した。

 誰もいない廊下をかけて、体育館へ向かおうとしていると、キーンコーンカーンコーンと大きくチャイム音が鳴り響いた。

「あ、終わった」

 始業式の終わりを告げるチャイム。それを聞いた私は、廊下の真ん中で立ち止まった。

 体育館へ向かう意味がなくなってしまい、ぼうっと突っ立っていた私。すると、体育館のある方向からたくさんの足音が聞こえてきた。


「あ、夏帆!」

「成美ちゃん!」

 そのたくさんの足音と、現れたたくさんの学生の群れの中から成美ちゃんがひょこっと顔を出した。

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