もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
「あ、あったー?」
教室に戻ると、私の姿を確認した成美ちゃんが席に座ったままで私に問いかけた。
「うん、あった!ありがとう」
「そっか、良かった」
始業式を寝過ごしてしまったせいで、課題回収と田口先生の話を聞き終えるともうお昼休み。寝て起きてご飯を食べるというなんとも言えない小さな幸せを感じながら私は自分の席につき、お昼ご飯であるお弁当を後ろを向いて成美ちゃんの机の上へと出した。
「いただきまーす」
両手を合わせて、お弁当箱を開く。すると、向かい側でおにぎりを頬張った成美ちゃんが口を開いた。
「なんか、2組転校生来てるらしいね」
「あ……そうなの?」
一瞬、どきりとした。だけど、私は知らないふりをして淡々とお弁当のおかずを口の中に放り込んだ。
「どんな人?」
少し先の未来を、現実になる未来を、確かめたくて聞いてみる。
「なんか、聞いた話だと少しだけ暗そうな人みたい。まぁ、これは人に聞いた話だからなんとも言えないけどね。聞きたければ私じゃなくて2組の子に聞いてみてよ」
私は分かんないや、と言った成美ちゃんは引き続きおにぎりを頬張り続けた。美味しそうにおにぎりを食べ続ける成美ちゃんを見ながら私は「そっか、うん、そうだよね」と何度も頷く。
ああ、間違いない。間違いなく、あの本に書かれている未来に向かって私は進み始めてる。
改めてそう感じた私は、急いでお弁当を食べ終えると、勢いよく席を立った。