もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
「なに、どうしたの急に」
「……私、行ってくる」
立ち上がり、一人呟く。すると、成美ちゃんが目を丸くして私の方を見た。
「え、どこに」
「未来」
「はあ?」
私の一言に成美ちゃんの目は、さらに大きく丸くなった。
なにを言ってんだ、と言わんばかりの顔をしている成美ちゃんを置いて、私は勢いよく教室から出た。そして、隣にある2組の後ろのドアの前に立った。
すぅ、はぁ、と大きく息を吸って吐いた。
どくん、どくん、どくん、と高鳴る胸を両手で抑え、私はドアの向こう側を覗き込む。
覗き込んだ私の視線のちょうど先に、窓の外を眺めている黒髪の男の子がいた。ここからでも分かる華奢な体つきに、白い肌。そして、時々前髪の間から覗く
瞳がとても綺麗だった。
胸が、高鳴る。どくん、どくん、と少しずつ大きく、速く、高鳴っていく。
高鳴った胸の鼓動は止まることなく鳴り続け、心臓がその音を鳴らせば鳴らすほど、私の中で何か大事なものが欠落していくような違和感を感じた。
「あ、夏帆か。こんなとこで何してんの」
この、だんだんと大きくなっていく違和感の正体が何かを考えている私の後ろから、突然声がかかった。振り返った私の目の前には、購買のパンを両手に抱えている志之がいた。