もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
普段から、思ったことをすぐに口にしてしまう性格の私。そんな私のことを「素直」だと言ってくれる友達も周りにたくさんいるけれど、この性格が原因でちょっとした事件が起こることも多々ある。
「ごめんなさ……」
「それじゃあ、切ってくれない?」
「え?」
お兄さんを怒らせてしまう前に、と、私は頭を下げようとした。しかし、私が頭を下げる前にお兄さんは驚くようなことを言い始めた。
「君が切ってよ。俺の前髪」
何か冗談でも言っているのかと思った。だけど、お兄さんの口元や、時々前髪の間から覗く瞳を見る限り、そうではなさそうだった。
おかしなことを言う人だ。そう思ったけれど、勢いや流れに乗せられて首を縦に振ってしまった私は、結局、お兄さんの前髪を切ってあげることになった。
お兄さんに「美容室には行かないんですか?」と質問をしてみた。しかし、このお兄さん、所持金が全く無いらしく美容室に行くのは不可能だと言う。
「お家にハサミ、無いんですか?」
もう一度、そう質問をしてみた。すると、お兄さんは「ハサミ、持ってないんだ。ついでに家もない」と、自然にとんでもない爆弾発言を投下してきた。
「えっ。お兄さん、もしかしてホームレスなんですか⁉︎」
びっくりした私は、両目を大きく開いた。衝撃からついつい大きな声を出してしまい、私は周りから痛い程の視線を浴びてしまった。