もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
職員室の前までやって来た私は、職員室前に設置されているオレンジ色の箱を見つけた。直径15センチ程度の小さなその箱には『落し物箱』と手書きで記された紙が貼られていた。
「やっぱり」
今まで、私はこんな落し物箱が設置されていたことなんて知らなかった。だけど、たった今、落し物箱が職員室前に設置されていることも本の内容と一致してしまった。
でも、それだけじゃない。落し物箱の横には、ちゃんと本の中に書いてあったようなメモも置いてある。落とし物を拾った場所と、名前、それからクラスが記入できる用紙が5枚。
私は、急いでカバンの中から本を取り出した。本を取り出し、背表紙から順に、ページを捲った。
急いでページを捲っていた私は、2枚ページを捲ったところで、そのページへと顔を近づけた。
「え、嘘」
私が開いたのは、著者の名前や出版社名。それから、書籍の発行日等が記載されているページ。そこに記載されている事実に、私は大きく目を見開いた。
───発行日、2023年8月13日。
何度も、何度も、目を凝らしては同じ部分を見た。信じられないけれど、発行日が今から7年も先だと表記されている。
私は、震えてうまく動かない指先で、表紙から順に、一枚一枚ページを捲る。本文の書き始め部分に目を通し直した私の予感は、やはり的中した。
本作中の一番初めには『私が彼に出会ったのは、今から7年前の8月29日。』と書き始められている。
作品の発行された2023年から、ちょうど7年前にあたるのは、2016年8月9日。
ひょっとして、この本に書かれているのは、私の未来ということなのではないだろうか。
そんなこと、あるわけがないとは思う。自分でも信じられない。だけど、あまりにも全てが一致しすぎていた。