もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
「確か、お母さんは来ていたけどシゲルくん本人は来ていないはずだけどな……宮崎、本当に学校で会ったのか?」
さらに不審な目で私を見る先生。私は、やってしまった、と心底自分の言葉を後悔した。
「あ、それじゃあ、私の勘違いだったのかもしれないです。でも、本当に転校生来るんですね!私、いい情報ゲットしちゃった!ありがとうございます、本木先生」
真っ白になりかけた頭をフルに回転させ、先生に怪しまれないようにおどけて見せる。私は頑張って笑顔を作り、それを必死に維持していた。
「こら、宮崎。この話は絶対に言いふらすんじゃないぞ」
「はーい!それじゃあ先生、また来週」
「はい、また来週。気をつけて帰りなさい」
何とかピンチを切り抜けた私は先生に大きく手を振り、急いで学校を出た。それから、また走ってある場所へと向かった。
ある場所というのは、駅前の通り。あのお兄さんと出会った場所だ。お兄さんと2回会ったうちの2回とも、そのカフェ辺りで会っている。だから今日もそこに居るのではないかと考えたのだ。
本に書かれている、転校生。その正体を確かめる為に私は走った。
お兄さんに名前を聞く。そして、お兄さんの名前が、さっき先生の言った『シゲル』という名前なら、あのお兄さんが本の中に書かれている転校生で間違いないはず。
ただ、とてもじゃないけれど、あのお兄さんが高校生には見えなかった。年齢も一致すれば間違いないけれど、果たしてお兄さんは高校生なのだろうか。