もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
「はい、お待たせしました。こっちがお兄さんのホワイトモカです」
「ありがとう」
お兄さんの前に、ホワイトモカの入ったカップを置いた。するとお兄さんは嬉しそうに笑ってカップに刺さっているストローを唇につけた。
「お兄さん、甘党なんですね。てっきり、ブラックコーヒーでも頼むのかなと思いました」
「ああ、うん。甘いもの好きなんだ。よくプリンとかケーキ食べてた」
「へえ、そうなんですね」
「うん」
会話が途切れてしまい、何を返そう。何を聞こう。どうやって、あの本とお兄さんについてを知ろう。と、ぐるぐる思考を回転させていると、先にお兄さんの方が口を開いた。
「ところで、今日はどうしたの?」
「え?」
「また、何か聞きたいことでもあるのかなと思って」
「え? えっと、あると言えば、ありますけど……」
平静とした様子でホワイトモカを飲み続けるお兄さん。
これは、お兄さんや本について聞くことができるチャンスだ。そう思う反面、あの本やお兄さんについて知るという事を怖いと感じている自分もいた。
「いいよ。何でも聞いてくれて」
「……それじゃあ、あの、まずはお兄さんについて教えてほしいです」
「俺について?」
「はい。お兄さん……陽本蒼さんについて、知りたいんです」