もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
お昼はクリーニング屋さんでパートをして、夜はコンビニで働いている。お母さんは、殆どの日をそんな風に一日中働きっぱなしで過ごしている。だから、私は大体いつもこの家に一人でいる。
正直、一人は退屈だ。だから、私は本をよく読んだ。家では一人で本を読み、それ以外の時間はお風呂に入ったり、ご飯を食べたりするだけ。もちろん、全て一人。
そんな私の事を、近所のおばさんや親戚の人は口を揃えて「可哀相」だと言ったけれど、不思議と私は、自分自身を〝可哀相〟だとか〝不幸〟だなんて思った事は、たったの一度だってなかった。
寧ろ、私はこの世界で一番に幸せな家庭に生まれ、愛されてきたと思っている。
「お父さん、ただいま。お母さん、今日もお仕事だからって、ご飯と手紙置いていってくれたよ」
優しい笑顔のお父さんの写真が立てられた仏壇。その前に正座をした私は、お線香を立て、両手を合わせると瞼を閉じた。
お父さんが生きている頃。お父さんは、いつも仕事が忙しくて週に一日ゆっくり遊べれば全然良い方だった。土曜日も日曜日も父親と遊んでいる友達を見ると、時々、それをひどく羨ましくも思うこともあった。だけど、お父さんは、私が喜ぶような事をたくさん考えて、色々なところに私を連れて行ってくれた。
今思えば、きっと大変だったに違いない。唯一の休みを私に当ててくれていたのだから、きっと……いや、間違いなく疲れていたはずなのに、写真も、記憶の中でも、お父さんはいつも笑っていた。
そんな、私やお母さんの為にいつも頑張ってくれていたお父さんの事を、私は今だって変わらず想っている。