もう二度と昇らない太陽を探す向日葵

 でも、今思えば〝気づかなかった〟なんてただの言い訳なのかもしれない。彼の、私に心配をかけまいとする優しさに甘えきっていただけだった。辛く苦しい思いをし続けていた彼の気持ちを、私はすくってあげられなかった。いつも私は彼に助けられてきたのに、私は一体、彼に何ができたと言うのだろうか。


「どうしてあんなこと言ったの」

 私は、彼と連絡を取ると駅前で待ち合わせた。私よりも数分後にやって来た彼は、もともと細身だったけれど、また更に痩せているような気がした。

 彼が来ると、私はすぐにメッセージの真意を問い詰めた。すると、彼は、眉を八の字に下げてからしばらく俯いたままだった。俯いた顔を上げたと思えば、彼は口角を少しずつ上げて笑顔を作り出した。

「さあ、分からない。ただ、好きじゃなくなった」

 この時の彼の声は、少しだけ震えていた。

「好きじゃなくなった……?」

 私の声も、同じように震えていた。苦しくて、悲しくて、悔しくて、キツく結び直した唇を離せば今にも泣いてしまいそうだった。

「そう。もう、好きじゃない。だから、付き合い続ける意味がない」

 彼は、私と目を合わすことはない。

「でも……私は、好き」

 決して目を合わせようとはしてくれない彼に、必死で涙をこらえながら訴えかけた。だけど、彼はまた俯くばかりで首を縦にも横にもふってはくれなかった。

< 43 / 125 >

この作品をシェア

pagetop