もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
彼が、私に最後に言った我儘。
それは、私に「幸せになってほしい」というものだった。
「幸せになって欲しいと心から思ってる。だから、俺とは別れて欲しい。そして、もう二度と会わないでいよう」
彼は、私にそう提案した。
その彼の提案に、悲しいという気持ちよりも先に苛立ちが走った私は、彼に今までで一番に怒ったのを覚えている。
途中から、悔しさとか悲しさ、苦しさとかやるせなさが涙と共に湧き上がってきた。まるで蛇口から出る水みたいに止め処なく涙を零しながら、私は彼に怒りをぶつけた。
別れるわけがない。私にとっての幸せはあなただから。あなたが幸せにしてよ。と、我儘なことを怒鳴りつけるようにして、私は大泣きしながら言い放った。
そんな私を、彼はいつもより少しだけ下手くそな笑顔で宥めていた。
「絶対に、離れない。私は、ここで幸せになるから」
彼の腕に包まれながら、彼の胸元の服をぎゅっと強く掴んだ。
この時、私も彼も涙を流していた。どうしてこうも運命は残酷なのか、と思わずにはいられなかった。
だけど、この日、私はひとつの決断をした。
私は、彼に自分の生涯を捧げよう。そして、いつまでも彼に寄り添おう、と』