もう二度と昇らない太陽を探す向日葵


 ───翌日。

 私は、久しぶりにあの本に触れた。ゆっくり、読み進めたページまでページをめくっていった。

 読みたくない。でも、読まなければならない。今更、知りたくないと怖気付いてしまった未来を、私は今、知らなくてはならない。未来と、ちゃんと向き合わなければならない。

 お兄さんが、私にこの本を読んで欲しいと言ったんだ。怖くなったから、なんて理由で逃げ出しちゃいけないよね。

 ページを順にめくりながら、私はそう何度も自分に言い聞かせた。

 そして、次のページからが私が読み始めなければならないページだというところで、私は大きく深呼吸をした。大きく息を吸って、吐く。たくさん溜め込んだ空気をこれでもかと出し終えると、私はページをめくった。



『彼と生涯を共にする。そう決めた私は、彼が病院に入院し始めた大学2年生の冬から大学を休みがちになった。

 彼の病状は、目で感じ取れるくらい着実に、深刻に進んでいた。

「ごめん」

 そう、彼は私に何度も言った。白く、無機質で、薄っすらと薬品の匂いが鼻につくような病室のベッドの上で。

 そんな彼に私は何度も「気にしないで」「あなたは悪くない」「私がここに居たいからいるんだから」と返した。真実であるこの言葉以外、どうやって返したらいいのかが分からなかった。

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