もう二度と昇らない太陽を探す向日葵

 私は、大学をよく休み、少しでも彼といることを選んだ。

 だけど、私にとってその選択はそれ程大きなことではなかった。確かに、大学を休めば単位はとれなくなり、進級が危うくなる可能性も十分にある。それに、何より、大学へ通わせてくれていた母には申し訳ないとも思った。

 だけど、一分でも、一秒でも彼と一緒にいたい。彼の隣で過ごし、話をし、笑って、呼吸をしていたい。その気持ちを上回るものは他になかった。

 「大学は?」と、彼はよく私を心配してくれていた。だけど、私は心配をかけたくなくていつも「今日は講義ないんだ」なんて言って嘘をついていた。彼はその嘘に気づいていたようだけれど、私は、心配をかけたくなくて彼に何度も嘘を重ね続けた。

 それは、彼のためについたつもりの嘘だったけれど、嘘をついたことを今ではとても後悔している。嘘だと知って聞いていた彼は、どれだけ苦しかっただろう。私はどれだけの罪悪感を彼に抱かせてしまったのだろう。

 彼の気持ちを考えると、今でもすごく胸が痛んできて、どうしようもない気持ちになる。

 私は、彼にいつも思ったことをそのまま、思ったその時に伝えていた。嘘をついたことや、自分の気持ちを隠したことなんて、それまでにたったの一度だってなかった。

 それなのに、あの時の私は嘘ばかりついていた。彼のためだと思い込み、嘘を何度も重ねていた。


 今思えば、あの時の私も変わらずいつものように、素直に思ったことや事実を伝えているようにしていれば良かったのかもしれない。

 そうすれば、私たちの未来は少しだけ、変わっていたのかもしれない。

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