もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
私は、殆ど毎日、たったの一時間や数十分しか時間がなくても彼に会いに行った。
時々、彼が好きなプリンを片手に部屋に入る。すると、彼は嬉しそうに笑ってくれた。
彼は、一見冷たく暗そうに見えたけれど、優しくて繊細で、時々子供のように単純な人だった。
「実は、高校二年の時くらいまで、甘いもの苦手だったんだ」
私が、彼の口にプリンを運んでいると、彼はいきなりそうカミングアウトをしたのを今でも鮮明に覚えている。
私が「でも、高校の頃、よくデートの時一緒にパフェとかケーキ食べてたよね?」と問う。すると。
「あまりに君が美味しそうに甘いものを食べるから、その顔を見るのが好きだったし、それから、君が好きな甘いものを僕も好きになりたかったんだ」
と、彼は照れくさそうに答えてくれた。
彼が甘いものを食べられるようになった理由があまりにも単純で、私はその時、心の底から笑っていた。
こういう瞬間が、私にとってはかけがえのない幸せな瞬間で、彼のことが好きだと改めて実感する瞬間だった。
やっぱり、私にとって彼は本当に特別で。私の人生で重要な人で。
だから、私には彼と生きる道以外は考えられないんだと改めて感じていた。