もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
肩を丸めて泣いている私のことを、そっと抱き寄せたお兄さん。お兄さんは、そんな私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「どうして君は、そんなに真っ直ぐなの」
敵わないな、と言ったお兄さんの声は、少しだけ震えていた。
「でも、幸せだったとしても、苦しいんだよ。悲しくて、つらい。俺と生きる道を選べば、そんな日々を送る事になる。俺は、君を置いて自ら命を絶ってしまう事になる。そうならなかったとしても、確実に君よりも早く死ぬ」
そんな俺を選んで後悔しない? と、彼は聞いた。私は、口を開く前に大きく一度だけ頷いた。
『彼を支えていくと決めた事。彼と生きる事を決めたという事。その選択だけは、絶対に間違っていなかった。』
そう、未来の私は記している。
私もそう思う。この人を選ぶこと。それは、私の人生で一番に重要で、一番に大切な選択だと。
「この私の選択だけは、絶対に、絶対に間違ってない」
お兄さんのことを選ばなければ、この先にいる未来の私は、こんなにも大きくて綺麗な幸せを知ることがないまま進むかもしれない。
何より、今の私がきっと大きな後悔をする。大きくて、耐え切れないような後悔をする。そう思う。
それはきっと、彼と出会ってから味わった苦しさよりも、もっと大きくて深い傷になる。
だから私は、絶対に、未来を変えたりなんかしない。