もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
「お兄さん、他には?」
「あー、あとは、海に行ったり、商店街にいた猫と一緒に遊んだりしたかな」
「あ、それって、ミケタロウのことでしょ!」
───未来を知ったあの日から数日が経ったの21日の午後。私は、お兄さんと公園のベンチに腰をかけて話をしていた。
お兄さんと未来の私が、同じ時を生きている間、どこで何をさて、どんなことを感じていたのか、私はそれを聞いては幸せな気持ちになっていた。
「そうそう、ミケタロウ。もう既にその名前ついてるんだ」
「そうだよ。だって、ミケタロウは私が中学生の頃からあの商店街にいるんだもん」
駅から少し歩いたところにある商店街。そこにいる少しふっくらとした体型をしている三毛猫に、私は中学校の頃から〝ミケタロウ〟という名前を付けて可愛がっていた。
飼い主のいない野良猫であるミケタロウは、きっと、もっとたくさんの名前を持っているはず。そんなたくさんの名前を持つミケタロウを、お兄さんと未来の私はよく可愛がって遊んでいたらしい。
「そっか。最初聞いた時はさ、何だその名前。ネーミングセンスないな、って思ってた」
「失礼な!」
「だって、もっと良い名前あるよ絶対。多分ミケタロウだって、夏帆のことを一番にネーミングセンスがない奴だって思ってると思うよ」
くすくす、とお兄さんが肩を震わせて笑った。
「な、そんな事思ってるの!ミケタロウ!ひどーい!」
今ここにはいないミケタロウへ敵意を向けた私。そんな私にお兄さんはもっと肩を震わせて笑った。「あはは」と声を漏らしたお兄さんに、私もつられて笑った。