もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
「そっか、お前にも見えるのか」
ありがとうな、と言ったお兄さんはミケタロウを踏んでしまわないようにと慎重にしゃがみ込んだ。
しゃがみ込み、自分の足元で気持ちよさそうにゴロゴロと転がっているミケタロウを優しい瞳で見つめて、何度と愛しさの溢れた指先で撫でて、愛でる。
お兄さんは、ミケタロウのことが大好きだったんだな、と、その優しい表情を見ているだけでもわかった。そして、ミケタロウもそんなお兄さんの姿が見えている。きっと、ミケタロウもお兄さんを大好きになるから、お兄さんが見えるんだね。
「ミケタロウってば、名付け親を放っておいて浮気しないでよー」
お兄さんの側に寄り、嬉しそうにお兄さんに戯れているミケタロウの背中をつんつんと人差し指で突いた。
「いつもそうだった。ミケタロウは夏帆より俺の方に寄ってきた。その度、夏帆はつまらなそうに拗ねてたよ」
懐かしい思い出を話すようにお兄さんが笑う。私は、その表情が嬉しくて、ミケタロウが私ではなくお兄さんの方に懐く事なんてどうでもよくなってしまった。
「ミケタロウは見る目があるね」
流石だ、と私はミケタロウの頭部をワシャワシャと撫でた。そうするとミケタロウは、ご満悦そうに目を閉じた。そして、にゃおん、と気持ちよさそうに鳴いてくれた。