もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
お兄さんと私の額が離れた。すると、お兄さんは、まだ顔の熱が冷めないでいる私の足の上にミケタロウを乗せた。
「はい、仲良し」
「え」
「ミケタロウは夏帆のこともちゃんと好きだよ。大丈夫」
ミケタロウのいる自分の足へ目をやる。すると、ミケタロウは私の足で気持ちよさそうに寝転がっている。そんなミケタロウを見て、可愛いなあ、と和んでいた私の向かいから、お兄さんの声が聞こえてきた。
「俺も、好きだよ」
「え?」
あまりにさらりと、流されるように私の耳に入り込んだ言葉。私が聞き返すと、お兄さんは私の足からミケタロウを抱き上げて笑った。
「ミケタロウだけじゃなくて、俺も好きだよって言ったの」
ミケタロウを撫でながらそう言ったお兄さんの耳が少しだけ赤い。
私の方は見ない。ミケタロウだけを見て、ミケタロウを撫でるお兄さんだけれど、きっと……ううん、絶対に私のことを考えている。それが分かる。だから、私は嬉しくて嬉しくてどうしたらいいのか分からなかった。
ついつい上がってしまう口角を抑えきれず、私は、両手で顔を覆い隠した。