もう二度と昇らない太陽を探す向日葵


 ───2016年8月22日。

 夏休みが終わり、この時代を生きている転校生の陽本蒼という男の子と出会うまで、ついに一週間を切ろうとしていた。

 私は、相変わらず毎日のようにお兄さんと会って、未来の私とした事や、行った場所へと足を運んで他愛もない話をしていた。


「ねえねえ、お兄さん」

「何?」

「もう少しで夏休みが終わって、私が高校生のお兄さんと出会うでしょ? そうしたら、私は、未来のお兄さんと現代のお兄さんと一緒に生きることになるの?」


 ふと、疑問に思ったことだった。

 未来の陽本蒼も、現在を生きる陽本蒼も知っていて、その次元の違う一人と共に生きる。そんなこと、本当にあるのだろうか。

 私は、単純に不思議に思ったことを聞いてみた。それだけのつもりだったけれど、お兄さんは私の質問に口元を歪ませた。

「お兄さん?」

「え? あ、うん……そうだね。それも、説明しないといけないね」

 お兄さんは、眉を下げて下手くそに笑った。

 ああ、何かあるんだな。お兄さんの笑顔に、私はそう感じた。そして、静かに心の準備を行った。


「夏帆が、この世界を生きている俺に会ったとして。そうしたら、今、夏帆が見ている俺は見えなくなって、消える」

「え……?」

「消えるのは、夏帆が現代を生きる俺に出会う、その瞬間かな。転校生としてやってきた高校生の俺に会った時、俺は消えるよ」

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