もう二度と昇らない太陽を探す向日葵
8月27日。
転校生としてやって来る、この世界のお兄さん、〝陽本蒼〟と会う日まで3日を切った。
とても暑い真夏日で、暑さに耐えきれず私とお兄さんは商店街で販売されていたカキ氷を食べた。私は、ブルーハワイ。お兄さんは、イチゴ味のかき氷に練乳をたっぷりかけて食べていた。
甘いものが苦手だったなんて思えないくらい、すっかり甘党になっているらしいお兄さんは、練乳がたっぷりかかっているそのかき氷を美味しそうにぺろりと平らげた。
────そして、8月28日。
一日一緒に居られる最後の日だからと、お兄さんは私にどこか行きたいところは無いかと尋ねてきた。
私は、最後だからこそ、いつも通りに公園で過ごしたいと提案した。お兄さんと、少しでも一緒にいたくて、ゆっくり話がしたかった。
そんな私の提案を、良い提案だと言ってくれたお兄さんと共に、私は、いつもの公園の比較的人通りの少ないベンチに腰をかけた。
ああ、本当に、今日で最後なんだ。
明日の朝にも会える。会いに行く。でも、一日ずっと一緒にいられるのは、これが最後。
明日からの私は、この世界を生きているお兄さんと一緒に生きていくことになる。
今ここにいる、未来を生きてきたお兄さんを知らない私。全てを知ったはずの未来も、この瞬間も、この夏の全てを忘れて、私は、また一から未来を歩み始める。