愛のカタチ
初めて、へんてこな事を考えたのは、中学2年の頃か。
「ねぇ?可愛いの基準って何だろうね?」
ぼんやりと独り言のように呟く。
梅雨も近い6月の半ば、放課後、2Fの教室から窓の外を眺めると、大好きな和也の姿があった。
学年で一番格好良いと言われる彼が、私の彼氏だ。
言われてみれば、格好良いの基準だって、分らないけど、学年一格好良い彼を仕留めた私も、学校一可愛いと持てはやされてたりするから、全く人の目は分らないものだ。
美男美女カップル…
そう言われても、いまいちピンと来ない。
だって、今一緒に居る実菜子の方が、私にはずっと可愛く見える。
スラリと伸びた手と足は、まるでモデルみたいだし、小さな顔に綺麗に整ったパーツは、どれも自己主張が強くなくて、しっくり収まっているのだ。
小さな顔に会わせた、コンパクトなショートボブが、実菜子の甘さを消して、中2ながらに大人っぽさを醸し出していた。
そんな実菜子が、心底羨ましいと思う。