ひりあま―ジンジャーティーに、失恋を溶かしたら―
お冷とメニューが、あたしの前に置かれた。
彼は軽く目を伏せている。そのまつげが長くて、うらやましくなった。
「話に聞いてたとおりのイケメンさんですねー」
からかってみたら、彼は、不思議そうに小首をかしげた。
色が白い。
目鼻立ちのバランスがキレイ。
パッと目を引く派手さはないけど、端正な顔をしてる。
「話に、聞いてた?」
何より、声がすごく心地よい。
顔立ちと同様、静かで端正。
でも、張りがあって、つやがあって。
「あたし、プロアマ混在の演劇チームに入ってるんです。
そこの役者仲間さんから、このカフェのこと、教えてもらいました」
カイトさん、という名前を出した。
ああ、と彼がうなずいた。