ひりあま―ジンジャーティーに、失恋を溶かしたら―
カウンターの彼も役者だ。
特に、声の演技を中心に活動してる。
要するに、声優ってこと。
プロの役者や声優には、よほどの運がないとなれない。
だから、彼はちょっと前までカフェに勤めていた。
つい先月、独立して、このお店を開くに至ったらしい。
「ハジメさんって、おっしゃるんでしょ?」
「ああ……はい」
「人見知りだから、話しかけてやってほしいって」
「カイトさんに言われたんですか?」
「お節介でスミマセン」
「いえ……ありがとうございます」
あたしは全然、人見知りしない。
といって、こんなにぐいぐい踏み込むタイプでもない。
単なる、やけっぱちモード。
だって、イケメンとしゃべってたら楽しいじゃん。