強引専務の甘い手ほどき
深呼吸をしてから電話をする。
お付き合いしている人と結婚する事になった。
その人の子どもを妊娠している。と、緊張した声で言うと、
やっと、結婚するのかと、子育ては体力勝負だから、早い方が良いから、ちょうど良かったと。
母は笑ってくれたけど、
相手が勤め先のルピナスの専務で社長の息子だと言うと、
そんな相手と結婚して、大変じゃないのかと、心配されてしまった。

まあ、私も自分が心配だ。

キサラギさんが電話を代わり、
ご挨拶に伺いたいが 、カエデさんの体調が整っていないので、
自分と両親だけで良いだろうかと尋ねたらしく、
母が慌てて、私のつわりが治まってから、と、言ったみたいで、
先に籍だけ入れることになった。

きっと、母は社長なんて種類の人達には会った事がないので、
先延ばしにしたんだろうって思うけど…。

まあ、私のつわりが治まったら、また、考えよう。


そして、そのまま区役所に婚姻届を出しに行き、
私は
日野 楓
キサラギさんの妻になった。

突然の妊娠。と結婚。
私は左手に母子手帳
右手にキサラギさんの大きな手を握りしめる。
とても幸せだって思った。

キサラギさんも私の顔を覗き、
「俺ってすげーシアワセかも。」
と嬉しそうに笑って、私の手の甲に唇を付けてから、強く握った。
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