強引専務の甘い手ほどき
おまけ。第1秘書室の恋愛事情。

吉野 美鈴の場合。

「結城さんのケーキすごく美味しかったです。」
とピンクのノエルの試食用にもらった時、
そう言ったら、
「結城さんは止めてよ。俺、晴也(はるや)って言うんだ。
ハルって呼んでね。美鈴ちゃん。」と仔犬のような笑顔を見せた。

私は名前で呼んでもらわなくってもいいけど。
と思いながらも、
仔犬の笑顔に見入ってしまう。

人懐っこい、調子のいい奴と思ったけど、
こだわりが強く、粘り強くケーキを試作するあたりは
結構、根性が座ってる。と付き合いだしてから気が付いた。

支店を任されることが決まってからは
何度も専務と打ち合わせにやって来ていたので、
自然と話すようになって
夕食を一緒に食べたりすることがあった。

カエデさんに振られたばかりなのは知っていたし、
付き合う気は正直なかったかな。
本社の社員の方が良い大学を出ていて、優秀って感じだったから。

でも、職人の世界は自分の手だけで、仕事をしていっているって
気づいて、尊敬出来るかなって思うようになった。
あいかわらず、チャラめの様子だったけど、
支店がオープンしたお祝いの食事の帰りに
建物の壁に押し付けられて見つめられたら、
動けなかった。
最初からの深いくちづけは私を求めてるって感じさせてくれて、
そのまま、私の家で抱き合った。

「俺は結構一途なんだけど…。他の男と別れてくれる?」と言われたので、、
カエデさんの事を気にしたら、とっくの昔から、相手にされてなかったし、
これからは、美鈴のためにケーキを作るって言ってくれたので、
付き合っている人もいなかったし、
私のための美味しいケーキはとっても嬉しい。
と思って、付き合うことにしたって感じかな。






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