強引専務の甘い手ほどき

石神 拓也の場合。

「タクヤ。起きて。」
と俺の頬を撫でる手を捕まえ、ベットに連れ込んで、もう1度深く唇を重ねる。

「もう、帰らないと…。」と俺の腕を抜け出るオンナはもう、帰る準備が出来ている。

シティホテルのこの部屋は月に2、3度利用していて、
もう、3年目だ。

俺はこの間32歳になったけど、
相手のオンナはいつになっても10歳年上で、その差はちっとも縮まる様子はない。

「また月曜日。」と手を振って、そっとドアを閉めるのは
上野 怜。42歳。
秘書室で一緒に働く、バツイチで小学3年生の男の子の母親だ。

土曜の朝。
レイは仕事があると言って、実家に健斗(ケント。レイのひとり息子。)を預けて、
ここにやって来て、
俺と抱き合い、夕方に帰っていく。

俺はいつでも、レイと一緒になるつもりでいるけど、
レイはケントを理由にちっともその気は無さそうだ。

気に入らない。

いとこのキサラギは去年の冬に結婚し、
子どもまで、生まれたっていうのに…。

俺はレイと3年付き合っているのに
ちっとも前に進んでいない。





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