強引専務の甘い手ほどき
出会って数ヶ月経った日曜日の午前中。
俺が近所を歩いていたら、カジュアルな服装で大きな荷物を持って、
ウロウロしているレイに偶然会った。
聞けば、息子のサッカーの試合にお弁当を届ける事になっていたのだけど、
スマホを忘れ、地図だけでたどり着けなくて
途方に暮れていたみたいだった。

地図を見たら、結構離れた場所。
致命的な方向音痴。

ちょっと笑える。

俺はレイの荷物を持って、一緒に俺の家に戻り、
車で送り届ける事にした。

レイは何度も恐縮した声を出して、頭を下げたが、
俺は彼女の思いがけないところを見た気がして
楽しい気分だった。

車がグラウンドに着くと、
ちょうど昼時で、レイの息子と一緒にレイの作った弁当を食べる事になった。

ちょっと不格好なオニギリにしょっぱい唐揚げ。
甘すぎる卵焼きは
俺を笑顔にさせた。

方向音痴
おまけに料理は苦手そうだ。

仕事の時とは全く違う顔を見せる彼女が、
楽しそうに息子と笑いあう姿は
俺の心を暖かくした。

ギャップ萌え。
ってヤツかな。

俺はすっかり彼女が好きになってしまったのだ。



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