強引専務の甘い手ほどき
2階の厨房の甘い香りを吸い込むためにちょっとだけ足を止めると、
「また、匂いを吸い込んでるな。」と紺野さんに見つかってしまった。
白髪なナイスミドルは少しお腹が出てるけど、
美味しいものを作ってくれそうで安心する。って感じかな。

「す、スミマセン。」とちょっと顔を赤くすると、
「匂いだけじゃなく、シュークリーム用意しとく。
昼休みに届けるよ。」と言ってくれる。
「ありがとうございます。世界で1番好きなものです。」と笑うと、
「それは嬉しいけど、
カエデちゃん。世界で一番好きな人はいないの?」と顔見るので、
「ルピナスのケーキより、好きな人はまだいません。」と笑うと、
「うーん。嬉しいんだけど、複雑な気分だねえ。
カエデちゃんにいい人ができたら、ウェディングケーキは任せてよ。」
とパティシエは笑いながら厨房に入って行った。

紺野さんに作ってもらうウェディングケーキかあ。
やっぱり、シュークリームが積み重ねられたタワーがいいなあ。
とウットリ考えながら、
階段を降りて、店舗に向かった。
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