強引専務の甘い手ほどき
「季節料理 いずみ」
私が利用する私鉄の駅から3分。
料理を作る大将と接客担当のおかみさん。
後、お手伝いって感じのアルバイトの女の子が1人だけ、
カウンター席が7席。テーブル席が2つの小さなお店だ。

私にとって、ちょっと贅沢なお店。
2週に1回だけ、と決めてある。
だけど、専務にとっては庶民的なお店には違いないだろうな。
と、ちょっと考えながら、車を降りた。専務は
「帰りはタクシーで帰ります。上杉さんも仕事を終えて下さい。」
と言って車を降りてきた。

「専務。少し狭いですが…」と店の前で立ち止まって言うと、
「おまえが狭いっていうな。失礼だろ。
それに専務はよせ。同期はキサラギと呼んでいるから、
おまえもそう呼べ。」と笑った声でガラガラと店のガラス戸を開けた。

「いらっしゃいませ。」とおかみさんの声がする。
「こんばんわ。」と私が笑顔で返事をすると、
「カエデちゃん。いらっしゃい。
あら、今日は素敵なお連れさんが一緒なのね。
カウンターでいい?」とニコニコする。

少し早い時間なのに
狭い店内はもう、満席に近い。
私が専務の顔を見ると、頷くので、
1番奥のカウンターの席に2人で並んだ。

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