強引専務の甘い手ほどき
専務は日本酒に切り替え、自家製の塩辛を頼んだりして、
結構飲んでいる。
砕けた口調で、
楽しそうに、今までの仕事の失敗談や、石神さんとの喧嘩の話をする。

私はうなずいたり、笑ったりして、時間はどんどん過ぎていった。

専務は酔っ払っても乱れないみたい。まあいいかな。
タクシー呼べばいいし。

と思って、私も楽しく飲む事にした。

トイレに立って戻ると、専務はすっかり眠っている。

あらら。と思って、
「専務。」と何度か呼ぶと、
「俺はキサラギだ。」と言い返して、また、眠ってしまった。


「大将、タクシー呼んで下さい。お勘定をお願いします。」と言うと、
「もう、お釣りを返すだけだよ。さっき、多めにもらってる。」と大将は私にお釣りをくれた。

いや、お詫びに私が奢るはずだったけど…。
困る。
と思いながら、寝顔を見る。
子供っぽい寝顔。

専務の寝顔なんて、滅多に見れないかな
と考え、ちょっとお得だっかな。と微笑む。


ちょっと、専務が身近に感じたかな。
これなら、どもらず、話せるかしら。とホッとした。

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