強引専務の甘い手ほどき
私のアパートに着く。
一応マンションという名前だけど、
ワンルームの部屋が並んでいる単身用の1Kの部屋だ。
運転手さんにタクシーから降ろすのを手伝ってもらい、大きな身体を支え、
「キサラギさん、歩いて!」と声をかけると、ヨロヨロと歩き出した。
よし。

エレベーターの3階を押し、眠り込んでしまわないよう、声をかけながら、立たせておく。
「眠い。」とブツブツ言っているけど、
「まだ寝ないで!」と怒っておく。

「まだ、寝ちゃダメ?」とドアによりかからせると、フラフラしている。
なんとか、靴を脱がせ、ベットに辿り着くと、うつ伏せにたおれた。


やれやれ。
酔っ払いだ。

動かない専務は気持ちよさそうな寝息をたてている。
すぐにエアコンをつけるけど、6月に入った部屋の中はまだむし暑い。
1人暮らしだから、窓を開けて眠る習慣はない。

上着だけなんとか脱がせて、ハンガーにかけて振り向くと、
勝手にズボンをぬいでいた。

こら、何してる。
と笑えるが、脱ぎ捨てられたズボンを持って、薄い布団をかけておく。

まあ、男のパンツ姿は初めてじゃないし。
寝ているだけだから、許しておこう。

しばらく経ったら、起きるのかしら。

私も酔っ払いだ。
1人暮らしの部屋に、
よく知らない男を連れてくるなんて…。
そう思いながらも
ベットから離れた壁にもたれて眠ってしまった。
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