強引専務の甘い手ほどき
全員で会議室に戻る。
秘書2人と私は後ろの席に座り、
今回の季節のケーキはどれがふさわしいか、
参加したパティシエ全員と意見が交換された。
やはり、予想どおりに私が選んだなかから、3種類選ばれ、
結城君のモノは最終の選考で選ばれなかった。
残念だ。

だけれど、会議あとに結城君のケーキは紺野さんに作り直しを命じられ、
本店でのみ、販売される可能性を残された。

良かった。
結城君は嬉しそうに、頬を赤くし、紺野さんと話している。

専務が結城くんを見ている私に
「あいつが選ばれて、嬉しいのか?」と少し不機嫌な顔で隣に立って私を見る。
「嬉しいです。
結城くんが作るケーキは何度か食べたことがありますし、
とても美味しいと、思っています。」と私が専務の顔を見上げると、
「そうか。」と私の瞳を真っ直ぐ見る。

「仕事が終わったら、食事に行かないか?」と専務が小さな声で聞くので、
「はい。」と頷くと、
「今日は拓也は抜きだ。」
と言って、私のそばを離れて、社長と水城さんのいるところに歩いて行った。

…今日は2人なの?
どうかしたかな…
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