強引専務の甘い手ほどき
上野さんに納涼祭についてきくと、
毎年、取引先も招待して、クルーザーをチャーターして花火を海の上から見るっていう、
カジュアルな立食のパーティーが開かれるって言うことらしい。
私達にとっては仕事の延長かな。

浴衣を持っていないと言ったら、お店と美容院を紹介され、
秘書は私用がなければ、役員について参加するっていうのが基本です。
まあ、仕事じゃないけど。
本社の女の子達にとっては出会いの場って感じかな。
参加するお客様や、本社勤務の男性は、優秀な方ばかりだし。と笑い、
浴衣と美容院の代金は経費で落とされますので、領収書持ってきてね。と言った。

「でも、西島さんは専務についていてね。」
と上野さんは真面目な顔をした。
「…はい。」
と返事をしながら、だって仕事の延長でしょうと上野さんの顔を見てみる。

上野さんは柔らかく私の瞳を見つめる。

どうしたのかなあ。

みんな私になんか言いたいことがあるのに、
はっきり言わない雰囲気だ。

私は首をかしげながら仕事に戻った。

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