強引専務の甘い手ほどき
「結城くん。すごくおいしい。
これなら紺野さんも本店に出して良いって言うかも。」と言うと、
「やった!」と嬉しそうに笑う。
「いや、まだ、紺野さんは食べてないでしょ。」と笑うと、そうだった。とまた笑った。
感情がストレートにわかる。
秘書室のみんなよりよっぽどわかりやすいな。
と、少し考える。
まぁ、専務は機嫌の良し悪しがわかりやすいけどね…。

「カエデ先輩、元気ない?」とちょっと心配そうな顔をみせる。
「ううん。」と首を横にふる。
「俺には何でも言ってよ。」というので、
「うーん。ありがとう。
慣れない仕事に少し疲れたのかも。」と言うと、
「じやあさ、みんなでご飯いかない?」と言ってくれる。
嬉しい。

私が返事をしようとすると、


「西島。」と声がかかる
専務だ。
何でこんなところに?

「本店の前を通ったから、寄ってみた。
用事は済んだか?」と私の顔をみる。


本当に?

後ろで石神さんがわらいを堪えて、立っている。

「また、邪魔すんのか。」と結城君が専務を睨む。

「ふうん。」と専務も好戦的な顔だ。

いったいどおしたの?

「結城くん、また、誘って。」と私は結城君に笑いかけ、バッグを持って席を立った。



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