強引専務の甘い手ほどき
「カエデ。部屋とってもいい?」と専務改め、キサラギさんは
隣に座って涙を拭きながら、私の瞳を覗く。

部屋?

「キサラギさん、たった今、恋人になったばかりなのに?」と私が呆れた声を出すと、

「いや、普通恋人になったら、そういう事もいいかなって。」とちょっと笑って、
「だってさあ、俺って、今まで随分と我慢したし、
こう、涙を拭いてたら、いろいろ欲望が…」と言うので、

「…いろいろは困りますが…」と顔をしかめて言うと、

「いやっ、いろいろじゃないよ。いや、いろいろかな?
いや、俺は普通だよ。普通。変な趣味はないって。」と慌てた声で言うので、

私はプッと吹き出して、
「お手柔らかにお願いします。」と耳元で囁くと、

「出来るだけ、考慮する。けど、
久しぶりだからどうかな」と自信なさげだ。

「キサラギさん、帰っていいですか?」と立ち上がると、

「アッ、待って、カエデ。
きっと、大丈夫だって。」と言いながら、私をしっかり抱きしめ、

「上のBARで待ってて。」と耳元で囁やいた。

顔が赤くなる。
急展開だ。

こんな事になるとは。
勝負の下着は着てこなかったなあ。


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