強引専務の甘い手ほどき

第4章。

観覧車の見える部屋。

「西島さん。専務室に来て。」
と珍しく、昼休みに石神さんに呼ばれる。

専務室に入ると、石神さんがちょっと笑って
「ちょっと、カエデちゃんに相談。
キサラギは君が付き合ってくれる事になって、有頂天だ。
毎日、一緒にいたいらしい。
迷惑なオトコだ。
カエデちゃんに会いに
毎日カエデちゃんの部屋に通う勢いなんだけど…。」と顔をしかめる。
「悪いか？」と不機嫌な顔で石神さんの顔をみる。
「カエデちゃんのマンションの前にデカイ黒塗りの車や、
キサラギのジャガーが毎日のように置いてある事を考えると
俺としても頭が痛いし、
それに、カエデちゃんちの部屋って防音大丈夫かな。
コイツはきっと頻回にカエデちゃんをベットに押し倒すんだろうから…
えーと、
カエデちゃん、
少し荷物を持って、キサラギのマンションに来ませんか？
っていう相談です。」と石神さんが笑った。

私は顔が真っ赤になる。

「カエデ、引越して来いよ。
俺は毎日カエデと一緒にいたい。」とキサラギさんは私の瞳を覗く。

「かっ、考えさせてください。」と下を向くと、

「わかった。それまで、昨日のホテルに一緒に泊まろう。」とキサラギさんはにっこりする。

はい？

「そ、それってキサラギさんの家に行くのと変わらないんじゃないですか？」と思わず聞くと、
「俺はカエデと一緒にいられるならどこでもいいよ。」と笑う。

いや、なんかおかしいでしょ。

「カエデちゃん、諦めたほうがいい。」と石神さんが呆れた声を出す。

「…わかりました。…キサラギさんの部屋に行きます。」とため息をつくと、

「そうか。今日、仕事が終わったら迎えに行く。準備しとけよ。」とキサラギさんはにっこり笑う。

石神さんはアホ。と言い、
私は大きなため息を吐いた。

やれやれ。
強引なオトコだ。