強引専務の甘い手ほどき
25階の最上階。メゾネットタイプの5LDK。
2階部分に3部屋。
1階部分は広すぎるリビングと書斎とゲストルーム。（らしい。）
リビングの大きな窓から観覧車とみなとみらいの夜景が美しい。
「荷物は2階の寝室の隣の部屋で良いかな。」と私に言って、階段を上がり、
引越し屋さんを案内し、30分くらいで荷物は入れ終わった。

広すぎる上にゴージャスすぎる。

私はリビングのシャンデリアらしきモノを見上げ、
ソファーセットの滑らかな革の感触にそっと触れたり、
テレビの大きさの驚ろき、オーディオセットの大きなスピーカーを物珍しくみたり、
窓の外の綺麗な夜景に目を奪われ、窓の前にぼんやり立っている間に
引越し屋さんも、石神さんも帰ったようで、ふたりきりになったいた。


「食事は今日はお手伝いさんに作っておいてもらったんだ。」とキサラギさんは微笑む。

まあ、この広さならお手伝いさんがいても不思議じゃない。

「カエデ、食事にしよう」と言われて、キッチンに慌てて付いて行った。

広いキッチンに作り付けの冷蔵庫。
後ろはパントリーと、家事室になっているみたいだ。
開いたドアを覗いてみると、
洗濯機、乾燥機、アイロン台、家事机なんかが並んでいる。
ここは借りて使うことになるんだろうな。
とちょっと考える。

キサラギさんが冷蔵庫から、
サラダや、白身魚のカルパッチョ。ローストビーフやなんかをつぎつぎ出してくる。

美味しそうだ。
ダイニングセットに並べ、
シャンパンを開け、2人で向かい合って食事を始めた。

「ようこそ。カエデと暮らせるようになって嬉しい。」
とキサラギさんはにっこりし、

「よ、よろしくお願いします。」
と私は緊張しながら、キサラギさんの瞳を見つめた。
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