強引専務の甘い手ほどき
「それは誤解。
俺が勝手にカエデに惚れただけ。
カエデは見てると、すごく面白くて可愛いだろ。
本人は気づいてないけど、
俺にはかなりのツボだ。」とクスクス笑って、私の顔を見て、
「お前ら2年も一緒にいたんだから、
口説く機会もあったんだろうって俺は思ってるよ。
カエデにその気が無かったから、
どうにもなってないんだと思ってんだけど?」と結城くんの顔を真面目に見た。

結城くんはため息を吐きながら、
「このヒト、俺がいろいろモーションかけてんのに、
ちっとも気づかないんだよねえ。
だからさ、最近は俺を相手にしてないんだ。ってわかってたんだけど、
あんたが好きでもないのにカエデ先輩を好きに扱ってるって思うと、
スゲー、腹が立って…。」とキサラギさんを睨みつける。

「イヤ、それも誤解だな。」と石神さんがクックッと笑い、
「結構、振り回されてるのはキサラギだ。
天然のカエデちゃんが上手く、口説けなくて、ジタバタしてた。
このオトコは真剣にカエデちゃんに惚れてる。
見てて、笑えるくらい必死だ。
こんな事は初めてで俺も楽しんでる。
だから、結城くんは安心して手を引いてください。
キサラギが、真剣にカエデちゃんと付き合ってるのは
俺が保証するよ。」と結城くんの顔を真面目に見た。

私は口が開けず、顔を赤くして、立っているだけだ。

「ふうん。石神さんの事は信じてもいいかな。
俺のケーキ。美味いって言ってくれたろ。」と結城くんは少し笑って、

「じゃ、カエデ先輩、会議室に連れてって。」とソファーから立ち上がる。

「結城、俺のオンナに手を出すなよ。」とキサラギさんが結城くんをにらむ。
「俺より5歳も年上のくせに、余裕がねえな。」と鼻で笑って、私の肩を少し抱く。

「このガキ。調子にのるなよ。」とキサラギさんが笑った声で私たちを見送った。
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