強引専務の甘い手ほどき
季節の新作のケーキは結城くんのモノと、チョコレートのモノが選ばれ、
審査を終了した。

新しい支店のチーフは結城くんにしたい。
と社長から話があると、ざわめきや、ため息が聞かれたけど、
紺野さんから、
「私は結城が若くても、才能と技術があると思う。
最近はルピナスらしいケーキを作るようになった。
意見のあるモノは今言うように。」と言われると、
紺野さんの意見に賛成する声があっただけで、
反対する意見は表立って出されなかった。

結城くんは顔を真っ赤にして黙っている。


解散を告げられると、
結城くんは紺野さんの前で
「ありがとうございます。」と目を赤くして、頭を下げている。


「おめでとう。」と私が声をかけると、
私の肩を抱きしめ、顔をつけて少し泣いたみたいだ。


「結城くん、新しい支店は僕らが任されているんだ
よろしくね。」と石神さんが笑って結城くんと握手をし、

「俺の初仕事の足を引っ張るなよ。」
とキサラギさんが後ろで不機嫌な顔を見せてから、結城くんに手を出す。


「俺のケーキを食ってから文句を言ったら。」と
結城くんも負けずに囁き、キサラギさんの手をしっかり握った。


やれやれ。

この2人は似た者同士って気がした。
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