強引専務の甘い手ほどき
キサラギさんを知っている友人達は
「カエデはキサラギさんとは結婚しないの?
そんなネックレスをくれるオトコなら
経済力はバッチリってことでしょ。」と言われるけど、

「結婚は…どうかな?
きっと、しないって思うけど…。」と言うと、

「ええ?キサラギさんってカエデにぞっこんじゃん?
まさか既婚者?」と聞くので、

「違う違う。うーん。
でも、しないの。」と笑うと、

「そっかあ、じゃあ、急いで、他のオトコを探さなきゃ。
オンナは出産にタイムリミットがあるって分かってるでしょ。
カエデはフツーに結婚して、
フツーにお母さんになりたいって言ってたじゃん。」
と隣に座った結婚していないオンナに言われてしまう。

「わかってるつもりけど、そう、上手くはいかないなあ…」と煮え切らない声を出すと、

「カエデは結婚できないオトコを好きになったんだ。
…まあ、しょうがないけど、早く別れなよ。
傷が深いと、次に行くまでに時間がかかるじゃん。
自分のこれからのためにも良く考えな。」と呆れた顔で笑った。

「はーい。わかってます。」と両手をあげておどけると、他の席から、

「カエデぇ、今日は飲むよー」と既に酔っ払いの声がする。

「はーい。」と笑って、みんなでグラスをぶつけ合って、ビールを飲んだ。






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