強引専務の甘い手ほどき
2次会はいつものカラオケだ。
私自身はあんまり歌わないけど、
みんなで合唱みたいに歌うのは好きかな。
鉄板のアイドルグループの歌をみんなで歌っていると、
キサラギさんが顔を出した。

「王子登場ー。」と友人達が拍手する。

「キサラギさん、座って座って。」と私が笑うと、

「カエデ酔ってるな。」とキサラギさんは笑った顔をみせる。

「西島 楓、29歳になりましたぁ!」と立ち上がろうとしてよろけると、

「もう、帰ったほうがいいな。
明日、仕事だろ。行くぞ。」と私の腰を抱いてみんなに手を振る。

「王子ぃ、帰っちゃうの?」という声に、

「また、来るよ。カエデ、みんなにおやすみって言って。」
とキサラギさんはドアの前で立ち止まり私を振り返らせる。

「今日は誕生会を開いてくれてありがとう。おやすみなさい。」
と私は深く頭を下げて、キサラギさんに抱えられ
みんなの「おやすみいー」の声に送られて、カラオケ屋を後にした。



< 80 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop