強引専務の甘い手ほどき
「それにさあ、ルピナスの後継者の生活って
人から羨ましがられるような、そんな生活じゃない。
ちっともに自由じゃないし、
いつも仕事が忙しいし、休みも取れないし、
ルピナスで働いてくれてる人達がの事を
第一に考えながらいろいろ決めなきゃならないし、
親父はうるせーし 、
俺の妻になるオンナは俺を愛してるオンナじゃないと務まらない。
忙しい俺を愛想を尽かさず、支えてくれて、俺を笑顔にしてくれるヤツ。
好きなオンナくらい自分で選びたい。
家に帰ってカエデにおかえりって言われたい。
ゆっくり抱きしめて眠ってホッとしたい。
俺はこの3日間、カエデがいなくて苦しかった。
カエデを失うと思ったら、
どうしたらいいかわからなかった。
だから、帰って来てカエデ。
もう、2度と離れていかないで。」
とキサラギさんはそう言って、私を見つめて深く唇をつける。

「普通のオンナでいいの？」と唇を離して私が小さな声で聞くと、
「俺にとっては特別で、たったひとりのオンナだ。」とキサラギさんはにっこり笑う。

私は安心しすぎて、体の力が抜ける。
「カエデ？どうした？カエデ！」とキサラギさんの声がする。
私はゆっくり意識が薄れて行った。
< 92 / 122 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop