強引専務の甘い手ほどき
気がつくと病院のベットの上だった。
(個室だ。やっぱりお金持ちだね。)
キサラギさんが私の枕元で、手を握って、心配そうな顔で見つめていた。と思う。
私が目を開けると、
「おまえ、俺をどんだけ振り回せば気が済むんだ?!」と大声を出した。

「ごっ、ごめんなさい。」と首をすくめると、

「こら、キサラギ、
さっきまで、泣きそうな顔だったのに、
もう、怒ってんのか?」と石神さんの笑った声がした。

「かっ、カエデが悪いんだろ!
勝手に出て行ったり、勝手に倒れたり…」と言いながら、私を強く抱きしめてきた。

「過労らしいよ。
カエデちゃん、食事も上手く食べられなかったんじゃない?眠れてた?
一緒にいたのに体調が悪いことに気づかなかったのはおまえの責任だろ。」
と石神さんは私を抱きしめたままのキサラギさんの頭をコツンと叩いた。

「…わかってる。
カエデ、不安にさせて悪かった。
カエデが俺のそばにいるって決心がつくまで、
俺はいろいろ決められなかった。
でも、もう、いいよな。
結婚しよう、カエデ。
俺と一緒に生きて欲しい。」とキサラギさんが真っ直ぐ見つめてくる。

「はい。
キサラギさんとずっと一緒にいたいです。」と私が涙を落とすと、

「泣きたいのはこっちのほうだ。
心配させやがって。」とキサラギさんは私の唇に深く唇を付けた。
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